某IT企業 社員向け100周年啓発 マンガ&クイズ(改訂版)

100年企業の歴史を物語化して、親しみやすく伝える

近年、自社の「周年」をコーポレートブランディングにおける重要なタイミングであると考え、ステークホルダーに向けてさまざまな「周年事業」を展開したり、「周年コンテンツ」を発信する企業が増えています。

今回は、当社が相談を受けて企画制作を担当した案件の中でも、特にユニークな事例をご紹介します。こちらも、某飲料メーカーのブランド史と同様に「マンガ」が社史としてフル活用されました。

※本コンテンツは2024年7月に公開した内容のアップデート版です。一部、情報を追加しています。
※マンガイラストは、実際に使用したものとは異なります(画像生成AIを使用)。

[オリエン内容]社員向けに、わかりやすく、親しみやすく表現

そのオリエン内容は、以下の通りです。

  • ターゲットは、20〜40代の若手社員
  • 公開はイントラネットのみ(完全に社内のみ)
  • 読みやすさ、親しみやすさを重視
  • 歴史を簡単に知ることができる
  • 読後に、その会社の社員であることに対する「誇り」が感じられる
  • 読んだ社員が、自社の「らしさ」「文化」に気づくことができる

知っている企業だった…!?

この企業の詳細を調べ始めて、すぐあることに気が付きました。

「この企業、知ってる…」

関東大震災の直後に事務機器の輸入販売で起業し、メーカー事業を軌道に乗せ、戦後はいち早くコンピュータの存在に目をつけてその事業を伸ばし、現在はIT企業に完全転換しているこの会社…確かに知っています。

かなり以前に、ある制作会社とタッグを組んで自主提案をしたことのある会社でした。提案内容は好評だったものの残念ながら具体的な案件の受注には結び付かなかったのですが、どういうわけか、この会社の総務部長の方と少し仲よくなってSNSでつながり、現在も交流があったのです。

驚きました。ご縁って、つながるものなんだなあ、と。…すみません、コレは完全に余談です。ただ、以前の自主提案の経験が今回の提案に活かされているのは事実です。

[制作内容]マンガ+クイズ で構成

このクライアントの歴史に関する資料を改めて読み込んでみて感じたのは、この会社には、物語のタネがたくさんある! ということ。企業のタイミングといい、戦中戦後の混乱期を生き残ってきたことといい、コンピュータビジネスにいち早く目をつけたことといい…感動と共感を生みやすい史実がたくさんありました。もちろん、これらは現代を生きる社員の教材としても最適。危機をチャンスに変えてきた歴史や、先見の明がある点については、大きな教訓になります。

そしてこの会社は、「オフィス業務の効率化」などを常に考え続けて、リスクを恐れることなく事業を展開できる「ニーズ先行型」の企業である、と定義付けました。 

そこで社員向けコンテンツでは、この点を軸にしつつ、企業使命(今でいうパーパス)は貫きつつ、時代の変化をいち早く察知して業態を変える柔軟性を持っていることがこの会社のDNAであると考え、この点をいかにわかりやすく伝えるかにフォーカスしました。

そこで提案したのが「社史のマンガ化」と「社史のクイズ化」です。

①社史のマンガ化(+補足コンテンツ)

記録として残っている100年分の歴史から、創業エピソード、創業期の代表的な商品の開発秘話、コンピュータ業界への進出…など、6つのエポックメイキングな出来事をピックアップし、マンガ化することに。ある新入社員が、時間を自由に移動できる超能力を持った(という設定の)創業者とともに、社史の時間旅行をするというストーリーを提案し、採用が決定しました。

マンガ化にあたっては、企業案件に慣れたプロフェッショナルのマンガ家さんと編集プロダクションに依頼。原作・シナリオは当社が担当しました。

多忙な社員が隙間時間に読めるよう、マンガは1話あたり2〜4ページと短めに構成。興味を持った社員が後から腰を据えてじっくり読めるように、補足コンテンツを充実させました。「2〜4ページは少なすぎるのでは?」という質問がありそうですが、しっかり社史を理解し、補足コンテンツとの関係性を明確化しておけば、2ページでも十分に、読ませて、楽しませて、学びになるコンテンツに仕上げることができます。

コンテンツは、このクライアントが過去に発行していた「50年史」「75年史」を両方とも二度ほど読み込み、外部のぼくからみても「これはすごい!」「これは学びになる」「これは誇りになる」と思えるエピソードを片っ端から選定。より現在の若手社員に響き、かつ意外性や発見性があるものはどれかという視点から絞り込みました。可能であれば、(わずか2ページではありますが)複数のエピソードを合体させ、1つの話にまとめあげています。

①創業のきっかけ、ビジョン/創業時の社会状況
②初期の取り扱い商品/創業者の人物像と企業理念
③戦前〜戦後のヒット商品/戦後混乱期の苦難/理念を象徴するエピソード
④戦後のヒット商品(③からの流れで紹介)/創業者の苦難(社長解任エピソード)
⑤新事業への参入/時代の流れを先取った事業展開
⑥現在にも受け継がれる創業時の想い/未来に向かって

②社史のクイズ化

マンガと補足コンテンツで会社の歴史に興味と最低限の知識をもったところで、クイズに挑戦できるようにしました。問題は1話あたり2問。漫画のストーリーや補足コンテンツと何らかの関係がある内容のにして、ヒントも提示しました。

マンガ本編はクライアントの歴史上、特に重要と思われるエピソードを厳選していますが、クイズの問題については「意外性」「おもしろさ」を重視しつつ、しっかり根底の部分では理念や会社の成長とつながっているものを厳選。結果として、「トリビアクイズ」になりました。

共感を生むための全体構造

コンテンツは、第1話から1カ月おきで公開。創業期のエピソードを第1話にして歴史順に展開しつつ、話ごとのテーマは微妙に変えていくことで、「次はどんな話だろうか」「もっと読みたい」という気持ちを抱きやすくしました。

そして、現代を舞台にした最終話と同時に、社員に向けての(創業者からの、というテイにした)メッセージを掲載。これをエピローグとすることで、全体の世界観をまとめ、社員が会社に対する誇りや希望が感じられるようにしました。

おおまかなスケジュールの流れ(企画段階〜1・2話目)

スケジュールはおおむね、以下のような手順で進行しました。1回で2話ずつの進行。2話分が完成するまでに、約3カ月かかりました。公開は1カ月おきにしています。

①企画提案(方向性・コンセプト・マンガ設定など)→決定

②全6話の各テーマ(取り上げる社史上のできごとと教訓)の提案→決定

③1・2話目 プロット(物語構造)提出→確認→決定

④1・2話目 キャラクターデザイン→決定

⑤1・2話目 原作シナリオ&クイズ作成→Fix

⑥1・2話目 ネーム(マンガのラフ)作成→確認

⑦1・2話目 線画(無彩色)作成→確認

⑧1・2話目 線画 彩色→確認

⑨1・2話目 写植(フキダシ内の文字のデザイン)作成→確認

⑩1・2話目 Webページデザイン作成→確認

⑪1・2話目 Webページコーディング

⑫1・2話目 完成

実際には五月雨式で進行したため、もっとも多い時では全6話分がなんらかの形で同時進行していました。

[まとめ]ゴールは「社内で愛されるキャラクターの確立」

コンテンツは周年期間中に、約半年をかけて全6話+エンディングが順次公開されました。クライアントの理念や文化をしっかり押さえたコンテンツは好評だったとのこと。社員の皆さんは皆、楽しく会社の歴史を学ぶことができているようです。

創業者のキャラクターは社内認知度や好感度が高まったようで、社内の周年イベントの際に創業者のキャラクターが「等身大パネル」として二次使用されるなど、思いがけない広がりを見せてくれました。

スタジオ・キャットキックでは「会社の歴史を、より親しみやすいコンテンツに!」というニーズにも、企画段階から関わることが可能です。特に、会社の事業内容や歴史の「漫画化」「物語化」は、ご相談が増えています。現在も同様の案件がいくつか進行中です。ぜひお気軽にご相談ください!

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